Avant-propos
第二外国語のためのフランス語
第二外国語としてフランス語を学ぶ学生の動機は、学生の専攻と直接関係があるものから、卒業要件として単位を取得しなければならないものまで、さまざまである。中には初級の授業を受けた後、熱心に中級・上級の授業を取ったり、検定試験に挑戦する学生もいる。しかしながら、多くの学生にとって、自身の専攻に加えて、教養とはいえ第二外国語を学ぶことは大きな負担ではないだろうか。負担に感じる部分は大きく2つある。
一つ目は、高校英語までと同じように、いつどの状況で使うか要領を得ない表現を覚え、テストで問われる形式に、再び向き合わされるからだ。大半の中学校の教科書は日本にやってきた留学生を交えた会話が中心であるが、いざ留学生が来ると、教科書の場面設定など何の役にも立たない。
2つ目に、授業で習う表現が、自身の興味関心と結びつきにくいことである。美術に興味があってフランス語を始めたが、授業で美術関連のテクストを読めるのは2年先、ということがある。懸命に語学を極めようとすると、社会問題に関する語彙や討論表現が先になってしまう。学ぶ動機と、実際に学ぶ内容がかみ合っていない——これもまた、学習を「負担」にする一因である。
そこで、本教材が目指すところは、興味関心に沿ったコンテンツで第二外国語学習を進めることである。これを通じ、受講者の学習への動機づけを強化し、文法の授業でありながら、同時に自身の専攻分野と関連した知識の確認ができるという形式を目指す。作者の浅学では到底敵わない目標であるが、今日においては生成AIの助けを借りることで、知識面はどうにかなりそうである。本教材で扱う内容は、専門分野といえども高校水準を標準とする。もっとマニアックな内容が良い方は、例文やテクストを共有いただければ対応を検討したい。
近年、生成AIの活用が急速に広まっている。プログラミングの知識がなくてもAIへの指示だけでWebアプリケーションを開発できる「ヴァイブコーディング」が注目され、個人が自分だけの学習アプリを作る日も遠くない。語学学習も例外ではなく、生成AIを使えば、教師一人では到底カバーできなかった分野の知識や例文を即座に引き出すことができる。こうした時代において、生成AIをどう使うかを考えることは、語学学習においても避けられない問いになってきた。本教材が、外国語学習におけるその一つの例となれば幸いである。